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幹細胞治療の効果とは?保険適用の有無や治療が行われる病気を解説

11 分前
読了時間: 8分

しゃがむと膝が痛いときは何科に受診する?痛みの原因や治療法

幹細胞治療に関心があっても、「どのような効果が期待できるの?」「自分の病気にも使える?」「保険は適用される?」と疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。幹細胞治療にはさまざまな種類があり、対象となる病気や治療方法によって、期待できる効果や保険適用の有無が異なります。また、すでに広く行われている治療と、効果や安全性を調べている段階の治療を区別することも大切です。


当記事では、幹細胞治療で期待される効果や主な対象疾患、治療前に知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。

【この記事はこんな方におすすめです】 ・幹細胞治療でどのような効果が期待できるのか知りたい方

・自分の病気が幹細胞治療の対象になるのか気になる方

・幹細胞治療の保険適用や費用について知りたい方


幹細胞治療ではどのような効果が期待できる?

幹細胞とは、自分と同じ性質の細胞を増やす能力と、特定の役割を持つ細胞へ変化する能力を備えた細胞です。幹細胞治療では、これらの能力や分泌する物質の働きを利用し、組織の修復や免疫反応の調整などを目指します。



傷ついた組織の修復や機能回復を目指す

幹細胞治療は、病気やけがで傷ついた組織の修復を促し、低下した機能の回復を目指す治療です。幹細胞から目的の細胞をつくって補う方法のほか、幹細胞が分泌する成長因子などを通じて、周囲の細胞の働きを支える方法があります。例えば、成長因子には細胞の増殖などに関わるものがあり、組織が修復される過程を支える働きが期待されています。


ただし、幹細胞の種類によって変化できる細胞や性質は異なり、どのような組織でも再生できるわけではありません。治療によって期待できる効果は、対象となる病気や組織の状態、使用する細胞などによって異なります。



炎症や免疫反応を調整する効果が期待される

幹細胞のうち、骨髄や脂肪などに存在する間葉系幹細胞には、炎症や免疫反応を調整する働きが期待されています。炎症は、体を守るために必要な反応ですが、過剰になったり長引いたりすると、周囲の組織を傷つける原因になります。


間葉系幹細胞は、分泌する物質などを通じて免疫細胞に働きかけ、こうした過剰な反応を抑えると考えられています。これにより、炎症に伴う組織の損傷を抑え、修復が進みやすい環境を整えることを目指します。なお、あらゆる炎症に効果があるわけではなく、治療法や対象となる病気ごとに有効性を確認する必要があります。



正常な血液や免疫機能の再構築を目指す

血液や免疫の機能を再構築する治療には、造血幹細胞移植があります。造血幹細胞は、酸素を運ぶ赤血球、感染から体を守る白血球、出血を止める血小板などのもとになる細胞です。病気や強い抗がん剤治療などによって血液をつくる機能が損なわれた場合に、造血幹細胞を移植して回復を目指します。


移植した細胞が骨髄に定着し、新たな血液細胞をつくるようになることで、血液や免疫の働きが徐々に回復していきます。移植には感染症などのリスクも伴うため、病気の種類や患者の状態を踏まえ、治療の必要性や適応を慎重に判断します。



幹細胞治療が行われている・研究されている主な病気


幹細胞を利用した治療は、白血病などの血液疾患をはじめ、関節疾患や脊髄損傷などで行われたり、研究されたりしています。治療として確立したものから有効性を検証中のものまであり、それぞれの位置づけは異なります。



白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患

造血幹細胞移植が行われる代表的な病気には、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫があります。これらの病気では、病気の種類や進み具合、薬の効き方などによって、移植が治療の選択肢になります。大量の抗がん剤などでがん細胞を減らした後、造血幹細胞を移植し、血液をつくる機能の回復を目指します。


移植には、自分の細胞を使う「自家移植」と、ドナーから提供された細胞を使う「同種移植」があります。誰もが受けられるわけではなく、期待できる効果や合併症のリスクに加え、年齢や体の状態などを踏まえて、医師が治療方法を検討します。



変形性膝関節症などの関節疾患

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減るなどして、痛みや動かしにくさが生じる病気です。この病気に対し、自分の脂肪から採取して培養した幹細胞を膝関節内に注入する治療が、自由診療で行われています。炎症を抑える働きなどを利用し、痛みを和らげたり、膝を動かしやすくしたりすることを目指します。


ただし、自由診療として受けられる治療でも、治療の効果が十分に確かめられているとは限りません。使う細胞や治療方法ごとに効果や安全性のデータを確認し、軟骨が必ず再生するわけではないことも理解しておきましょう。



脊髄損傷など再生医療が検討されている疾患

脊髄損傷は、事故などで脊髄が傷つき、手足の麻痺などが生じる病気です。国内では、自分の骨髄から採取した間葉系幹細胞を用いる製品が、2018年に条件・期限付きで承認された例があります。一方、iPS細胞からつくった神経前駆細胞を移植する方法は、臨床研究として効果や安全性が調べられています。


同じ病気でも、承認された製品を使う治療と、効果や安全性を確かめるための臨床研究では、受けられる条件が異なります。また、自由診療で行われる治療についても、承認済みの治療や臨床研究とは分けて考える必要があります。




幹細胞治療は効果なし?保険適用と治療前の注意点

幹細胞治療は、治療方法や対象となる病気によって、効果を裏づけるデータや保険適用の有無が異なります。すべてを「効果なし」と判断するのではなく、期待できる効果と限界を知り、リスクや費用も含めて検討することが大切です。


治療を受けても期待した効果が得られない場合がある

幹細胞治療を受けても、すべての人が期待した効果を得られるわけではありません。病気の種類や進み具合、体の状態、治療方法などによって結果は異なり、症状の改善を実感できない場合もあります。また、治療後すぐに変化が現れるとは限らず、効果を判断するまでに時間が必要な場合もあります。


ただし、「時間がたてば必ず効く」と考えて治療を続けるのは避けましょう。何を目標にし、いつ、どのような方法で効果を確かめるのかを、治療前に医師と相談しておくことが大切です。



効果の根拠が十分でない自由診療もある

自由診療で提供されている幹細胞治療の中には、効果を裏づけるデータが十分にそろっていないものもあります。治療を受けられることと、その病気への効果が科学的に確かめられていることは、同じではありません。広告や体験談だけで、効果があると判断しないようにしましょう。


また、国に治療計画を提出している場合でも、国が治療の効果を認めたという意味ではありません。自分と同じ病気の患者を対象としたデータがあるか、ほかの治療と比べてどのような違いがあるかを医師に確認しましょう。




保険適用の有無は治療方法や病気によって異なる

幹細胞治療の保険適用は、対象となる病気や治療方法によって異なります。例えば、白血病などに対する造血幹細胞移植は、条件を満たせば保険診療で受けられます。一方、変形性膝関節症などに対して医療機関が独自に提供する幹細胞治療には、健康保険が使えない自由診療もあります。


自由診療では費用を全額負担するため、治療回数によって負担が大きくなることもあります。同じ「幹細胞治療」でも保険の扱いは一律ではないため、受診先で自分が受ける治療の保険適用と自己負担額を確認しましょう。




治療前に有効性・安全性・費用を確認する

治療を受ける前に、自分の病気にどの程度の効果が期待できるのか、どのような副作用や合併症があるのかを医師に確認しましょう。自分の細胞を使う場合でも、感染症などのリスクがなくなるわけではありません。治療後に体調が悪くなった際の連絡先や、対応できる医療体制も確認しておくと安心です。


費用は、細胞の採取・培養・投与だけでなく、検査や通院、追加治療を含めた総額を確認します。ほかの治療の選択肢も聞き、説明を理解して納得した上で受けるかどうかを決めましょう。



まとめ

幹細胞治療では、傷ついた組織の修復や炎症・免疫反応の調整、血液をつくる機能の回復などを目指します。ただし、期待できる効果は病気や治療方法によって異なり、誰もが十分な改善を得られるわけではありません。


白血病などに対する造血幹細胞移植のように保険診療で行われるものもあれば、自由診療で提供されるものや、臨床研究として検証されているものもあります。治療を検討する際は、自分の病気に対する効果の根拠やリスク、費用の総額を確認しましょう。

ほかの治療方法も含めて医師と相談し、納得した上で選ぶことが大切です。





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監修医師

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保田 真吾 医師

京都大学でアルツハイマー病などの神経変性疾患の病態解明と治療法の開発に取組み、医学博士を取得。また、准教授として再生医学の応用研究に従事し、国際的評価の高い学術誌に研究成果を発表してきた。整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。公的病院にて医長や副院長、院長代行などを務め、病院全体を管理する仕事にも携わってきた。


臨床医として勤務しつつも、再生医学の臨床応用については常に研究しており、実用段階となった再生医療の症例を4000例以上経験。再生医療の長所、短所を知り尽くし、理想の関節治療を実現するため、大阪梅田に新規クリニックを開設する決意をした。「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。

​【経歴】

京都大学医学部大学院修了 

京都大学助教授(准教授)

市立舞鶴市民病院 副院長・院長代行

国立病院機構 舞鶴医療センター 医長

公益財団法人 丹後中央病院 部長

医療法人社団活寿会 理事長

大阪ひざ関節症クリニック 院長

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック 院長

​【専門医など】

京都大学医学博士

日本専門医機構認定  整形外科専門医

リウマチ財団登録医

臨床内科専門医/糖尿病療養指導医

日本医師会認定産業医

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