膝の裏が痛くて正座ができない!原因と対処法・受診のタイミング
- 真吾 保田
- 3 日前
- 読了時間: 7分

膝の裏に痛みがあり、正座がこれまでのように楽にできないと感じる方もいるのではないでしょうか。膝は体重を支えながら日常動作を行う重要な関節であり、特に正座のように深く曲げる姿勢では、膝関節周囲の筋肉や靱帯、関節内構造に大きな負荷がかかります。そのため、正座ができないほど痛みがある場合には、原因を発見し必要であれば医療機関にかかることが大切です。
当記事では、膝の裏に痛みが生じる代表的な原因と自宅で行える初期対応や受診のタイミングについて解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】 ・膝の裏に痛みがあり、正座がしづらいと感じている方 ・階段の上り下りや立ち上がる際に、膝の裏側に違和感や張りを感じる方 ・膝の痛みが長引いており、原因や適切な対処法を知りたい方 ・日常生活の中で膝に負担を感じている中高年層の方 |
正座ができないほど膝の裏が痛い原因

正座は一見シンプルな動作に見えますが、膝関節の柔軟性や太もも・ふくらはぎの筋肉、関節周辺の組織などが滑らかに連動してこそ行える、意外に負担の大きい姿勢です。膝の裏が痛くて正座ができない場合、関節周囲の炎症や筋肉・靭帯の緊張、神経の圧迫などが原因となっていることもあります。以下では、考えられる原因について解説します。
筋肉の疲労や損傷
膝の裏が痛む原因のひとつに、筋肉の疲労や損傷があります。特に、膝裏にある膝窩筋(しっかきん)や太ももの裏側のハムストリングスが関係することが多く、過度な運動や無理な動作が続くと炎症が起きやすくなります。
階段の昇り降りや長時間の立ち仕事などでも負担が蓄積し、痛みとして現れることも珍しくありません。運動不足の方は膝を支える筋力が弱まっており、急な運動による膝の酷使によって炎症を起こすこともあるため特に注意が必要です。
ベーカー嚢腫
膝の裏に現れる「ベーカー嚢腫(のうしゅ)」は、関節の滑液(関節液)が関節包の外にたまって、袋状にふくらむことで発生する良性の腫れです。関節に炎症や変形があると滑液が増え、滑液の圧力で膝裏に嚢腫ができることがあります。膝を曲げたり伸ばしたりする動作で違和感や圧迫感、痛みが出ることがあり、コブが大きくなると歩行時の不快感や引っ張られるような感覚を伴います。
通常は自然と腫れは消えていきますが、大きくなったコブが破裂して痛みと腫れが生じる場合もあります。後述する変形性膝関節症や関節リウマチ、半月板損傷などの疾患と合併しているケースも少なくありません。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、関節の軟骨がすり減ることで骨同士がこすれ合い、膝に痛みや腫れを引き起こす疾患です。一般的には膝の前面や内側に痛みを感じることが多いですが、関節の変形が進行すると膝裏に負担がかかり、裏側にも違和感や鈍い痛みを感じることがあります。
特に階段の上り下りや立ち上がりの動作で膝裏に引っかかるような感覚が出る場合は、変形が膝全体に影響を及ぼしている可能性があります。
膝裏の半月板損傷
半月板は膝関節内にある軟骨で、衝撃の吸収や関節の安定に重要な役割を果たしています。この半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかりや違和感が生じ、特に膝裏に痛みを感じることがあります。スポーツや転倒などの外傷によって損傷することが多いですが、加齢により脆くなった半月板が日常動作の中で自然に傷つくケースもあります。
初期は軽い違和感程度でも、進行すると腫れや可動域の制限を伴うことがあり、膝の裏側に鈍痛や圧痛が出るのが特徴です。
関節リウマチ
関節リウマチは、免疫機能の異常によって関節に炎症が起こる自己免疫疾患です。初期症状として、膝関節を含む複数の関節に腫れや痛み、こわばりが現れることがあり、膝の裏側に違和感や鈍い痛みを感じるケースも見られます。炎症によって関節周辺の滑膜が厚くなり、関節内に水がたまることで圧迫感や膝裏の痛みにつながることがあります。
関節リウマチは朝の起床時に強くこわばりを感じやすいのが特徴で、進行すると関節の変形や可動域の制限が生じる恐れもあります。
膝の裏が痛くて正座ができないときの対処法・治療法
膝の裏に痛みを感じて正座ができない場合、その原因や程度によっては自宅で対処できるケースもあります。無理に動かさず、安静やストレッチ、サポーターの使用などで症状が和らぐこともあります。ただし、痛みが強い、腫れが引かない、歩行にも支障があるといった場合には関節や腱のトラブルが疑われるため早めの受診が大切です。
以下では、具体的な対処法や治療法を紹介します。
冷やす・安静にする
膝の裏に痛みがあるときは、まず無理に動かさず安静にすることが基本です。膝を休ませると、腫れや痛みの軽減につながることがあります。痛みが落ち着くまでは、正座や階段の上り下りなど膝に負荷がかかる動作は控えるようにしましょう。
痛みの原因が炎症や筋肉の負担によるものであれば、患部を冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。保冷剤や冷湿布などをタオル越しに15〜20分程度あて、1日に数回行うましょう。
ストレッチをする
膝の裏に違和感や軽い痛みがある場合、無理のない範囲でストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、血流を促す効果が期待されます。太ももの裏側(ハムストリングス)やふくらはぎの筋肉をゆっくり伸ばすことで、膝周辺の柔軟性が高まり、膝裏への負担を軽減できます。
たとえば、床に座って片脚を伸ばし、つま先をゆっくりと手で触れるような前屈運動が効果的です。ただし、強い痛みや腫れがあるときは無理にストレッチせず、医師に相談することが大切です。
サポーターやテーピングをする
膝の裏に痛みがあるときは、サポーターやテーピングを活用して関節を安定させることが有効です。サポーターは膝周辺を適度に圧迫し、余計な動きを抑えることで痛みの悪化を防ぎます。また、保温効果によって冷えからくる筋肉のこわばりを軽減することも期待できます。
テーピングは、膝の動きをサポートしつつ、筋肉や靭帯にかかる負担を減らす役割を果たします。いずれも正しい方法で装着することが重要であり、自己流で難しい場合は理学療法士など専門家に相談すると安心です。
生活習慣や姿勢を見直す
膝の裏の痛みが慢性的に続く場合は、生活習慣や姿勢を見直すことも大切です。長時間の座りっぱなしや立ちっぱなし、脚を組む癖などは、膝まわりに負担をかける原因になることがあります。日常的に正しい姿勢を意識するほか、無理のない範囲でこまめに体を動かすことで、関節のこわばりや血流の悪化を防ぐ効果も期待できます。
また、体重の増加も膝への負担を大きくするため、適度な運動とバランスの取れた食生活による体重管理も重要な対策のひとつです。
医療的処置を行う
膝の裏に強い痛みや腫れがある場合、自己判断での対処では限界があるため、医療機関での処置が求められます。整形外科などで診察を受け、レントゲンやMRIなどの画像検査を通じて原因を正確に特定し、適切な治療につなげることが大切です。
関節内に炎症が確認された際には、炎症を抑える薬を投与したり、関節液を抜く処置が行われたりするケースも見受けられます。また、症状によっては理学療法や装具療法、あるいは手術を検討することも考えられます。無理をせず、早めに医療機関を受診することが重要です。
正座ができないほど膝の裏が痛いときの受診の目安

膝の裏に痛みを感じながらも様子を見る方は少なくありませんが、違和感を放置すると悪化し、日常生活に支障が出る可能性があります。初期の段階で適切な治療を受ければ、症状の早期改善が期待できます。強い痛みや腫れ、熱感、正座ができないほどの不快感がある場合は、速やかに整形外科を受診しましょう。
まとめ
膝の裏に痛みを感じて正座ができない場合、筋肉の疲労やベーカー嚢腫、半月板損傷など複数の原因が考えられます。痛み始めたばかりの段階であれば、冷却や安静、ストレッチなどのセルフケアで改善するケースもあります。
しかし、痛みが強い、腫れが続く、動作に支障が出る場合には、早期に医療機関を受診することがおすすめです。正確な診断と適切な治療を行えば症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復が期待できます。
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