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半月板損傷を手術しないで治す方法6つ|手術療法の費用相場も解説

更新日:8月27日


半月板損傷でやってはいけないこと7つ|原因や症状・治療法も解説

半月板損傷は、膝の痛みや違和感の原因として多い疾患です。医師から手術をすすめられたものの、「できれば手術は避けたい」と考える方も多いのではないでしょうか。半月板損傷は、損傷の程度や部位によっては手術をせずに治すことも可能です。


当記事では、安静・アイシング・注射・筋力トレーニングなどの保存療法による回復方法を紹介し、手術療法、再生治療の種類や費用についても解説します。自身の状態に合った治療方法を見つけるための参考にしてください。


【この記事はこんな方におすすめです】 ・膝の半月板損傷と診断されたが、手術を受けるか迷っている方

・手術を避けて、できるだけ自然に回復したいと考えている方

・保存療法にはどのような種類があるか、具体的に知りたい方


半月板損傷は手術しないで治せる?

半月板損傷でやってはいけないこと7つ

半月板損傷とは、太ももの骨と脛の骨の間にある「半月板」という軟骨組織に、負荷がかかったり傷がついた状態を指します。半月板は、膝の衝撃を吸収し、関節の動きをなめらかに保つ役割を担っている組織です。スポーツや加齢による摩耗、ひねる動作などで損傷することが多く、膝の痛みや引っかかり感、可動域の制限といった症状が現れます。


半月板損傷は、損傷の場所や程度によっては手術をせずに治療できる場合もあります。特に、血流が多く自然治癒しやすい外側部分の損傷や、軽度の症状であれば、安静やリハビリといった保存療法で回復が見込めます。一方、内側の血流が少ない部位や痛みが強い場合は、手術が必要になるケースもあるでしょう。




半月板損傷を手術しないで治す方法


半月板損傷を手術せずに治す場合は、損傷が軽度であることが前提です。自然治癒が見込めるケースでは、薬の服用やリハビリを中心とした「保存療法」によって回復を目指します。


以下では、代表的な保存療法について解説します。



安静


半月板損傷を手術せずに治療する場合、まず大切なのが「安静にすること」です。 損傷した半月板に繰り返し負荷がかかると、傷の拡大や炎症の悪化につながります。特に痛みや違和感が強い時期には、階段の昇降や長時間の歩行、正座など膝に負担をかける動作は避ける必要があります。


必要に応じて、椅子や杖を使う、脚を上げて休むなど、膝への負担を減らす工夫も効果的です。無理に動かさず休ませることで、自然治癒の可能性が高まります。



アイシング


アイシングは、半月板損傷による炎症や痛みを抑えるために有効な方法です。特に損傷直後や膝に腫れや熱感があるときは、冷却によって血流を一時的に抑え、炎症の進行を防ぐことが期待されます。アイスパックや保冷剤をタオルで包み、膝の患部に1回15〜20分ほど当てるのが一般的です。これを1日数回繰り返すと、痛みや腫れが緩和されやすくなります。


ただし、冷やしすぎは凍傷のリスクがあるため注意が必要です。症状が落ち着いてきたら、アイシングの頻度を減らし、安静やリハビリへと段階的に移行することが大切です。痛みが強い初期には、他の保存療法と組み合わせて行うのが効果的です。



注射


注射による治療は、半月板損傷の保存療法の1つとして、痛みや炎症を緩和することを目的に行われます。代表的なのが、関節内にヒアルロン酸を注入する方法です。ヒアルロン酸は関節の滑らかな動きを助ける「滑液」の成分で、摩擦を減らし、動作時の痛みを和らげる効果があります。


また、痛みが強い場合には局所麻酔剤やステロイドの注射を行うこともあります。ステロイドは炎症を一時的に強力に抑える作用がありますが、頻回な注射は副作用のリスクもあるため注意が必要です。いずれの注射も、半月板自体を修復するものではありませんが、リハビリを進めやすくするための補助的な治療として処置されます。症状や体質に応じて、医師と相談しながら適切な方法を選びましょう。



筋力トレーニング


半月板損傷による痛みで膝をかばって動かさない状態が続くと、太ももを中心とした膝まわりの筋力が低下していきます。膝関節は筋肉によって支えられているため、筋力が弱まると膝の安定性が損なわれ、関節への負担がさらに増してしまいます。


特に重要なのが、太ももの前側にある大腿四頭筋の強化です。大腿四頭筋を鍛えることで、膝の負担を軽減し、再発の予防にもつながります。リハビリでは、膝に大きな負荷をかけない範囲でのトレーニングが基本です。痛みのない範囲で継続的に行うことで、関節の安定性と回復力の向上が期待できます。専門家の指導のもと、安全に進めましょう。



ストレッチ


太もも(前側・後ろ側)やふくらはぎ、股関節の柔軟性が低下していると、動作のたびに膝に余計な力が加わり、半月板への負荷が大きくなります。ストレッチは、膝まわりの筋肉や腱を柔らかく保ち、関節にかかる負担を軽減するために行います。


ストレッチを行う際は、無理のない範囲で、ゆっくりと時間をかけて伸ばすことがポイントです。反動をつけたり痛みを我慢して行ったりすると逆効果になるため、気持ちよく伸びる範囲で止めましょう。運動前後や入浴後の体が温まったタイミングに行うと効果的です。筋トレと同様、ストレッチも継続が重要です。柔軟性が向上すれば、膝の動きがスムーズになり、痛みの軽減や再発防止にもつながります。



サポーターや装具の使用


サポーターや装具の使用は、半月板損傷によって不安定になった膝関節を補助・補強する保存療法の1つです。膝のぐらつきを抑えることで、関節への過度な負荷を軽減し、痛みの緩和や回復の促進につながります。市販のサポーターから医療用の装具までさまざまな種類があり、損傷の部位や症状の程度に応じて整形外科医が個別に装具を処方することもあります。


日常生活や運動時の補助として活用することで、動作時の安心感が得られるとともに、他の保存療法との併用効果も高まります。ただし、長期間の使用は筋力低下を招くおそれがあるため、使用時間や頻度には注意が必要です。




半月板損傷を手術で治す際の方法と費用

半月板損傷を放置するリスク・治療法

半月板損傷が重度の場合や保存療法で改善が見られない場合には、手術による治療が検討されます。手術には、損傷部位を切除または縫合する手術療法と、細胞を活用して修復を促す再生療法があります。


それぞれの特徴や費用について、以下で詳しく解説します。



手術療法


半月板損傷に対する手術療法には、主に「半月板縫合術」と「半月板切除術(部分切除術)」があります。いずれも関節鏡(内視鏡)を使った低侵襲な手術で、皮膚の切開が小さく、術後の回復が早い点が特徴です。損傷の状態に応じて、これら2つを組み合わせて行うこともあります。


半月板縫合術

約10〜20万円

半月板縫合術は、損傷した半月板を糸で縫い合わせることで自然治癒を促す手術です。特に血流が比較的豊富な半月板の外側部分では、縫合による回復が期待されます。半月板をできるだけ温存できる点が大きな利点で、若年層やスポーツ選手に選ばれることが多い手術です。ただし、損傷の形状や部位によっては縫合が難しく、適応外となることもあります。

半月板切除術 (部分切除術)

約7万~15万円

半月板切除術は、損傷した半月板の一部を専用の器具で切除し、表面を滑らかに整える手術です。短時間で終わり、術後の回復も早いことが特徴です。痛みや引っかかり感が改善されやすく、日常生活への早期復帰が望めます。ただし、半月板が一部なくなることで膝への負担が増し、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があります。



再生療法


再生療法は、体の細胞や組織の力を活用して損傷した組織の修復や再生を促す治療法です。半月板損傷に対しては、従来の手術に代わる選択肢として、次のような方法が注目されています。


PRP療法

(多血小板血漿療法)

約15万〜60万円

患者自身の血液から成長因子を抽出し、損傷部位に注入することで、自然治癒力を高めます。比較的軽度な損傷に用いられることが多く、ダウンタイムも短いのが特徴です。

幹細胞治療

約100万〜190万円

患者の脂肪や骨髄から取り出した幹細胞を用いて、損傷した半月板の再生を目指す高度な治療です。再生効果が期待される一方で、保険適用外で高額になります。

組織工学的治療

症例により異なる

生体材料を使って人工的に半月板を再構築し、移植治療と組み合わせて再生を図ります。


クリニックによっては、PRP療法と幹細胞治療をセットで行うプランも用意されている場合があります。効果や持続性には個人差があるため、治療選択は医師と十分に相談した上で決定しましょう。



まとめ


半月板損傷は、軽度であれば手術せずに治療可能です。保存療法では、安静にして膝への負荷を避け、アイシングで炎症を抑制します。ヒアルロン酸注射で関節の動きを改善し、大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングで膝の安定性を向上させます。ストレッチで関節の柔軟性を保ち、サポーターで膝を補強することも効果的です。


重度の場合は手術が必要で、手段としては縫合術や切除術があります。近年注目される再生療法では、PRP療法や幹細胞治療など、自然治癒力を活用した治療も行われています。





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監修医師

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保田 真吾 医師

京都大学でアルツハイマー病などの神経変性疾患の病態解明と治療法の開発に取組み、医学博士を取得。また、准教授として再生医学の応用研究に従事し、国際的評価の高い学術誌に研究成果を発表してきた。整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。公的病院にて医長や副院長、院長代行などを務め、病院全体を管理する仕事にも携わってきた。


臨床医として勤務しつつも、再生医学の臨床応用については常に研究しており、実用段階となった再生医療の症例を4000例以上経験。再生医療の長所、短所を知り尽くし、理想の関節治療を実現するため、大阪梅田に新規クリニックを開設する決意をした。「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。

​【経歴】

京都大学医学部大学院修了 

京都大学助教授(准教授)

市立舞鶴市民病院 副院長・院長代行

国立病院機構 舞鶴医療センター 医長

公益財団法人 丹後中央病院 部長

医療法人社団活寿会 理事長

大阪ひざ関節症クリニック 院長

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック 院長

​【専門医など】

京都大学医学博士

日本専門医機構認定  整形外科専門医

リウマチ財団登録医

臨床内科専門医/糖尿病療養指導医

日本医師会認定産業医

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