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半月板損傷でやってはいけないこと7つ|原因や症状・治療法も解説


半月板損傷でやってはいけないこと7つ|原因や症状・治療法も解説

半月板損傷は、膝関節の軟骨に挟まれたクッションのような組織が損傷することで生じ、強い痛みや腫れ、可動域の制限などの症状を引き起こします。日常生活での何気ない行動や体勢が、損傷を悪化させる原因となることも少なくありません。


当記事では、半月板損傷の際に避けるべき行動を7つ、また半月板損傷の主な原因や症状、治療を受けずに放置した場合のリスク、保存療法や手術療法などの治療方法についても解説します。


【この記事はこんな方におすすめです】 ・半月板損傷と診断され、日常生活で気をつけるべきことを知りたい方性

・膝に痛みや違和感があり、半月板損傷の可能性を疑っている方

・リハビリ中で、症状の悪化を避けたいと考えている方


半月板損傷でやってはいけないこと7つ

半月板損傷でやってはいけないこと7つ

半月板損傷とは、膝関節のクッションの役割を果たす半月板が断裂・損傷した状態を指します。転倒やスポーツなどによる外傷のほか、加齢や軟骨のすり減りなどが原因となることもあります。痛みや腫れ、可動域の制限を引き起こすことが多く、適切な対応をしないと悪化するおそれがあります。


以下では、半月板を損傷しているときに避けるべき行動を7つ紹介します。



膝に負担のかかる体勢


膝に負担のかかる体勢は、半月板損傷の悪化を招くおそれがあるため避けましょう。代表的な例として、正座や和式トイレの使用、しゃがみ込み動作などが挙げられます。正座やしゃがむ体勢は膝関節を深く曲げることで関節内の圧力が高まり、損傷した半月板にさらなる負担を与えてしまいます。


また、膝をひねるような動作や急な方向転換、内股歩行も膝への負荷を増加させる要因です。負担を軽減するには、洋式トイレの利用や椅子中心の生活への切り替えといった住環境の見直しも効果的です。



階段の昇り降り


半月板損傷を抱えている場合、階段の昇り降りは避けるべき動作の一つです。階段の上り下りは膝関節に体重が集中し、関節内部に繰り返し強い圧力がかかるため、半月板の損傷を悪化させるリスクがあります。


特に下りの動作では、地面からの衝撃が膝に直接伝わりやすく、痛みや炎症が強く出るおそれがあります。可能であればエレベーターやエスカレーターを使い、階段の使用は最小限にとどめることが望ましいです。やむを得ず階段を使う場合には、手すりで体重を支えながら一段ずつゆっくりと動作し、膝を極端に曲げないよう注意しましょう。



長時間の立ち姿勢や歩行


半月板損傷のある膝にとって、長時間の立ち姿勢や歩行は大きな負担となり、損傷の拡大や痛みの悪化を招くおそれがあります。特に膝関節内で正常な荷重分散が行えない状態では、関節へのダメージが蓄積しやすくなります。


無理に歩き続けたり、立ちっぱなしで作業を行ったりすると、半月板の裂け目が広がる可能性もあります。休憩を挟まず通勤や運動を続けることも避けましょう。膝への負担を軽減するには、杖を使って体重を分散させる、途中で座って休む、膝サポーターを着用するといった対策が有効です。



急激な体重増加


急激な体重増加は、半月板損傷の悪化を招く要因の1つです。体重が1kg増えると歩行時には膝への負荷が約3kg分増すとされており、日常の動作だけでも膝に大きな負担がかかります。膝の痛みにより運動量が減少すると、さらに体重が増え、悪循環に陥りやすくなります。そのため、適切な食事管理で体重の増加を防ぎつつ、ストレッチや短時間のウォーキングといった膝に負担をかけにくい運動を習慣化することが重要です。


また、水中運動や上半身のトレーニングなど、膝を過度に使わない運動を取り入れることで、筋力を維持しながら負担軽減が図れます。体重管理と運動習慣の両立が、回復と悪化防止のポイントです。



負荷の強い運動


半月板損傷時に負荷の強い運動を行うことは、回復を妨げ損傷を悪化させる原因となります。特に、ジャンプや急激な方向転換を伴うサッカーやバスケットボール、ランニングなどは、膝関節に強い衝撃やねじれを与えやすいため、避ける必要があります。これらの運動は半月板に直接的な圧力や摩擦を加えるため、損傷部位が広がるリスクも高まります。


その一方で、膝への負担を抑えつつ筋力を維持するためには、水中ウォーキングや水泳、エルゴメーター(自転車型運動器具)など、膝にやさしい運動を取り入れることが有効です。関節に負担をかけないストレッチや、上半身中心のトレーニングも積極的に活用しましょう。



突然の動き出しや方向転換


突然の動き出しや急な方向転換も強いねじれや圧力を加えるため、半月板損傷の悪化を招くおそれがあります。特に立ち上がりや歩き出しの瞬間、方向を変える場面では膝関節に不規則な負荷がかかりやすく、痛みや腫れを誘発しやすくなります。半月板損傷に悪化しそうな動作を避けるには、いったん動きを止めてから体の向きを変える、歩き出す前に重心を整えるなど、膝にかかる負荷を最小限に抑える工夫が重要です。


また、屋内外を問わず滑りやすい床や不整地では足を取られやすいため、靴底の滑りにくい靴を選ぶなどの環境面の配慮も効果的です。焦らずゆっくりと動くことを常に意識しましょう。



不適切な靴の着用


半月板損傷の際には、足元から膝に伝わる衝撃を抑える必要があり、不適切な靴の着用は症状の悪化を招く可能性があります。クッション性のない硬い靴、ヒールの高い靴、サイズが合わない靴などは、歩行時の衝撃を緩和できず膝関節に直接負荷を与えるため、痛みや炎症を引き起こす原因になりやすいです。特にハイヒールは膝が前に突き出しやすくなるため、関節のバランスが崩れやすく、半月板へのダメージを助長します。


症状の悪化を防ぐには、クッション性に優れたスニーカーや、膝の負担を軽減できるインソールを取り入れることが有効です。ビジネスシーンでも、機能性を重視した靴選びが求められます。




半月板損傷の原因と症状


半月板損傷の主な原因には、以下のようなものがあります。


・スポーツ中のジャンプや方向転換による膝のねじれ

・バスケットボールやサッカーなど、激しい運動による衝撃

・加齢による半月板の変性や劣化

・立ち上がりや方向転換など日常の動作での負荷


半月板が損傷すると、膝関節にさまざまな症状が現れます。多くは膝の痛みと腫れから始まり、膝を曲げ伸ばしした際に「引っかかり感」や「コキッとした音」が出ることがあります。運動時の痛みや、膝に水がたまる(関節水腫)といった症状も見られ、損傷がひどい場合は関節内に断裂した半月板が挟まって動かなくなる「ロッキング」を起こし、歩行困難になることもあるでしょう。特に高齢者では、些細な動作でも半月板が傷つくことがあり、注意が必要です。

気になる症状が複数ある場合は、医師の判断を仰いで適切な診療科で検査を受けましょう。



半月板損傷を放置するリスク・治療法

半月板損傷を放置するリスク・治療法

半月板損傷を放置することは、膝関節に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。半月板は、膝関節内でクッションの役割を果たし、衝撃を吸収する重要な組織です。しかし損傷した状態を放置していると関節軟骨に過剰な負担がかかり、やがて軟骨がすり減っていきます。その結果、「変形性膝関節症」を引き起こすリスクが高まります。進行すると、痛みや腫れ、水が溜まるといった症状が慢性化し、歩行や階段昇降など日常動作にも支障をきたすようになります。


また、膝関節が不安定になることで「膝のぐらつき」や「関節の引っ掛かり感」が強くなり、ロッキング現象や転倒のリスクも増加します。重症化した場合は、人工関節への置換手術が必要となるケースもあるため、早期の治療が不可欠です。半月板損傷の治療法は、損傷の程度や患者の状態によって異なります。主に以下の3つに大別されます。


保存療法

軽度の損傷であれば、まずは保存療法が選択されます。薬物療法としては痛み止めや抗炎症薬の投与に加え、ヒアルロン酸の関節内注射が行われます。併せて、関節周囲の筋力を強化するリハビリテーションや、膝への負担を軽減するサポーターの装着などが推奨されます。また、関節に水が溜まっている場合は、穿刺によって除去する処置も必要です。

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や、断裂の程度が大きい場合には手術が検討されます。主に関節鏡を用いた「半月板部分切除術」や「縫合術」などがあります。ただし、手術によって一部を切除した場合、将来的に軟骨が損耗しやすくなることがあり、変形性膝関節症のリスクを完全に除外することはできません。

再生医療

近年では、手術を避けたい方や高齢のために手術が難しい方に向けて、損傷した半月板の修復を目指す再生医療も注目されています。自分の幹細胞などを用いた治療法は、身体への負担を抑えつつ、組織の再生を促すことが期待されています。保存療法と手術の中間的な選択肢として位置付けられています。



まとめ


半月板損傷時は膝への負担を最小限に抑えることが回復のポイントです。避けるべき行動として、正座やしゃがみ込み、階段の昇降、長時間の立位・歩行、急激な体重増加、ジャンプや方向転換を伴う激しい運動、突然の動き出しや方向転換、クッション性のない靴や高いヒールの着用の7つが挙げられます。これらを続けると損傷が拡大し、痛みや腫れが悪化するだけでなく、将来的に変形性膝関節症を引き起こすリスクが高まるため注意しましょう。


治療法は軽度なら薬物療法やリハビリテーションによる保存療法、重度なら手術療法、近年は再生医療も選択肢として注目されています。早期の適切な対応が膝関節の機能維持と日常生活の質向上につながります。





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監修医師

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保田 真吾 医師

京都大学でアルツハイマー病などの神経変性疾患の病態解明と治療法の開発に取組み、医学博士を取得。また、准教授として再生医学の応用研究に従事し、国際的評価の高い学術誌に研究成果を発表してきた。整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。公的病院にて医長や副院長、院長代行などを務め、病院全体を管理する仕事にも携わってきた。


臨床医として勤務しつつも、再生医学の臨床応用については常に研究しており、実用段階となった再生医療の症例を4000例以上経験。再生医療の長所、短所を知り尽くし、理想の関節治療を実現するため、大阪梅田に新規クリニックを開設する決意をした。「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。

​【経歴】

京都大学医学部大学院修了 

京都大学助教授(准教授)

市立舞鶴市民病院 副院長・院長代行

国立病院機構 舞鶴医療センター 医長

公益財団法人 丹後中央病院 部長

医療法人社団活寿会 理事長

大阪ひざ関節症クリニック 院長

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック 院長

​【専門医など】

京都大学医学博士

日本専門医機構認定  整形外科専門医

リウマチ財団登録医

臨床内科専門医/糖尿病療養指導医

日本医師会認定産業医

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