変形性膝関節症には自転車運動が良い?理由とおすすめの運動療法
- 真吾 保田
- 4 日前
- 読了時間: 7分

変形性膝関節症と診断され、運動を勧められたものの「どんな運動が膝に負担をかけずに続けられるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。自転車運動は、膝関節にかかる衝撃が少なく、関節の動きを維持しながら筋力の維持・向上にもつながるおすすめの運動療法の一つです。
当記事では、変形性膝関節症の方に自転車運動が適している理由や、実践時の注意点、その他おすすめの運動療法を解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】 ・変形性膝関節症と診断され、症状の進行を予防したい方 ・膝の痛みを和らげながら無理なく運動を続けたい方 ・自転車運動に関心はあるものの、実施にあたっての注意点や効果を詳しく知りたい方 |
変形性膝関節症には自転車運動がいい理由

変形性膝関節症は、加齢や過度な負荷などにより膝関節の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、可動域の制限などが生じる疾患です。特に中高年層に多く見られ、進行すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
しかし、痛みがあるからと膝を動かさずにいると、太もも周りの筋力が低下して、関節が固くなることでかえって症状が悪化するおそれがあります。そこで推奨されているのが、膝に過度な負担をかけずに筋肉を使える「自転車運動」です。
以下では、変形性膝関節症の運動療法として自転車が効果的とされる理由を解説します。
膝への負担が少ない
変形性膝関節症の運動療法として自転車運動が良いと言われている理由の一つは、自転車運動が膝関節への負担が少ないためです。ウォーキングやランニングなどの運動は、体重が膝に直接加わりますが、自転車はサドルに体重を預けながらペダルを漕ぐため、膝関節への衝撃が軽減されます。
特に、膝を伸ばしきらずに滑らかに動かすことで関節の可動域を保ちつつ、摩擦や圧力を抑えることが可能です。
足の筋肉強化ができる
自転車運動は、膝に過度な負担をかけることなく、太ももやふくらはぎなどの下肢筋群をバランスよく鍛えられるのが大きな特徴です。ペダルをこぐ動作では大腿四頭筋やハムストリングス、下腿三頭筋といった筋肉が自然と使われ、膝関節を支える力が高まります。
膝周辺の筋力の強化は関節の安定性を保ち、関節にかかるストレスの軽減にもつながるとされています。筋肉がしっかり働くことで関節への負担を分散できるため、変形性膝関節症の進行予防にも有効です。
有酸素運動ができる
体重が重いほど膝への負担は増えるため、人によっては変形性膝関節症を改善するために体重のコントロールをして膝への負担を減らすことが重要です。自転車運動は膝への負担が軽いだけでなく、継続して行うことで体重減少にもつなげられるため、変形性膝関節症の運動療法に良いと言われています。
実際に自転車運動を行う際には外を走るのも良いですが、天候に左右されにくい室内バイクを利用することで、年齢や体力に応じて無理なく続けることが可能です。
変形性膝関節症の方が自転車運動をするときの注意点
変形性膝関節症の方が自転車運動を始める際は、まず医師に相談し、自身の膝の状態に合った運動が可能かどうかを確認することが大切です。状態によっては、自転車運動によって症状が悪化する場合もあるため必ず医師に相談しましょう。
以下では、変形性膝関節症の方が自転車に乗るときに気をつけたいポイントを解説します。
サドルの高さを調節する
変形性膝関節症の方が自転車に乗るときには、サドルの高さに気をつける必要があります。サドルの位置が低すぎるとペダルを踏み込む際に膝が大きく曲がるため、関節に大きな負担がかかります。反対に、ペダルの位置が高すぎると踏み込む際に足が伸びきって、ペダルの操作が不安定になるだけでなく太ももの裏側の筋肉や関節に無理な力がかかる可能性があります。膝に優しいサドルの高さは、ペダルが一番下にあるときに膝が軽く曲がっている状態です。
また、こぐときのギアも高いものは膝への負担がかかりやすいため、低いものを使用し緩やかにこげるようにしましょう。
坂道や立ち漕ぎは避ける
変形性膝関節症の方が自転車に乗る際は、坂道や立ち漕ぎをできるだけ避けることも重要です。坂道ではペダルを強く踏み込む必要があり、膝関節に大きな負荷がかかります。また、立ち漕ぎは体重が直接ペダルにかかるため、座った状態よりも関節への圧力が増し、膝の痛みを悪化させる原因となります。
平坦な道を選び、軽いギアを使って無理のないスピードでこぐことを意識しましょう。負荷の少ない運動を継続することが、膝に優しい運動療法につながります。
痛みを感じる場合は中断する
自転車に乗っている際に痛みを感じた場合にはすぐに中断しましょう。痛みは膝関節に過剰な負荷がかかっているサインであり、無理に続けると関節の炎症や症状の悪化を招くおそれがあります。
また、違和感がある程度でも、早めに休憩を取り様子を見ることが望ましいとされています。休息後も痛みが引かない、または日常動作にも影響がある場合には、早期に整形外科など専門医の診察を受けましょう。自転車運動は無理なく継続することが大切であり、膝の状態に応じて強度や時間を調整することが予防と改善のポイントです。
変形性膝関節症の方におすすめの運動療法

変形性膝関節症の方にとって運動療法は症状の進行を防ぎ、膝関節の機能を維持する上で効果的とされています。ただし、強度の高い運動は関節軟骨や周囲の組織に過度な負担を与え、痛みや腫れを引き起こす可能性があるため、運動中や運動後に痛みが出ない程度の運動を選ぶことが大切です。
以下では、変形性膝関節症の方におすすめの運動療法をいくつか紹介します。
筋トレ
筋力トレーニングは、変形性膝関節症の方にとって有効な運動療法の一つです。特に太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋を鍛えることで、膝関節にかかる負担を軽減し、痛みの緩和や関節の安定性向上が期待されます。以下は、代表的な筋トレ「膝伸ばし運動」です。
▼膝伸ばし運動の方法
1. | 椅子に深く腰かけ、両足を床につけて背筋を伸ばす。 |
2. | 片足をゆっくりと前に伸ばし、膝をまっすぐにする。 |
3. | 伸ばした状態で5〜10秒キープする。 |
4. | ゆっくりと元の位置に戻す。 |
5. | 左右交互に10〜20回ずつ繰り返す。 →1日1〜2セットを目安に無理のない範囲で行う。 |
ストレッチ
ストレッチは膝関節の柔軟性を保ち、関節の可動域を広げる上で効果的とされる運動療法です。関節周辺の筋肉が硬くなると、膝への負担が増して痛みや違和感が悪化する原因になります。特に太ももの裏側の筋肉であるハムストリングスやふくらはぎの柔軟性を高めることで、膝関節への負担を分散しやすくなり、日常動作がスムーズになります。以下は、ハムストリングスを柔軟にするのに効果的とされるストレッチです。
▼ハムストリングスのストレッチ
1. | 床に長座で座り、片脚の膝を曲げて足の裏をもう一方の脚の内腿につける。 |
2. | 伸ばしている脚の膝をしっかりと伸ばし、背中をまっすぐに保ったまま、 胸を脚に近づけるように上体を前に倒す。 |
3. | 気持ちよく筋肉が伸びていると感じる位置で20秒キープする。 |
4. | 反対側も同様に行う。 |
水中歩行
水中歩行は、膝への負担を抑えつつ運動できる点が、変形性膝関節症の方にとって大きなメリットです。水の浮力によって体重の負荷が軽減されるため、陸上での運動が困難な方でも安心して取り組めます。
歩行時は水深が腰から胸ほどのプールで、無理のないペースで前後や横向きに歩くのがおすすめです。膝をしっかり伸ばしながらゆっくり動かすことを意識し、無理のない範囲で継続しましょう。
まとめ
変形性膝関節症の改善には、膝に過度な負担をかけずに筋力を維持・向上できる運動療法が重要です。特に自転車運動は、関節への衝撃が少ない上に有酸素運動としても効果的で、筋力強化や体重管理を通じて膝への負担を軽減できます。
また、自転車以外にも膝関節を支える筋肉を鍛える筋トレや、柔軟性を高めるストレッチ、水中歩行などの運動がおすすめです。痛みが出ない範囲で継続し、医師の指導のもとで行いましょう。
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