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太ももの付け根が痛い原因4つ|疾患や対策についても解説


太ももの付け根が痛い原因4つ|疾患や対策についても解説

歩いたときや立ち上がるときに、太ももの付け根に違和感や痛みを覚えたことのある方もいるでしょう。痛みの原因は一時的な筋肉疲労や血行不良などの軽度なものから、関節の変形や骨折といった深刻な疾患まで多岐にわたります。特に股関節に関わる病気は、放置すると日常生活に支障をきたすおそれもあるため、早期に対処することが重要です。


当記事では、太ももの付け根が痛くなる主な原因や考えられる疾患、日常生活で実践できる対策などを解説します。


【この記事はこんな方におすすめです】 ・太ももの付け根に痛みや違和感があり、原因を知りたい方

・自分でできる対処法や予防策を探している方

・医療機関に行くべきか迷っているが、まずは情報収集したい方


太ももの付け根が痛い原因

太ももの付け根が痛い原因

太ももの付け根が痛む初期症状として、「靴下が履きにくい」「長時間歩くと痛む」「立っていると痛くなる」などが挙げられます。痛みは鈍い違和感から鋭い痛みまでさまざまで、症状が進行すると日常生活にも支障がでることがあります。


以下では、太ももの付け根が痛む代表的な原因として考えられるものを紹介します。



血行不良


太ももの付け根に痛みを感じる原因の1つとして、血行不良が挙げられます。長時間座ったままの姿勢や足を組むなどの偏った体勢を続けると、鼠径部周辺の血流が滞りやすくなります。血行が悪化すると酸素や栄養が十分に供給されず、老廃物や疲労物質がたまりやすくなり、重だるさや鈍い痛み、違和感が慢性的に発生することがあります。


特に冷え性の方やデスクワーク中心の生活をしている方は、こうした循環不良に起因する痛みが起こりやすい傾向にあります。



股関節周りの筋肉の疲労や硬直


股関節まわりには腸腰筋や大腿直筋、内転筋群など、歩行や姿勢保持にかかわる複数の筋肉が存在します。これらの筋肉に過度な負荷がかかると柔軟性が失われ、硬直や疲労が進行します。筋肉が硬くなることで周囲の組織や神経が圧迫され、痛みとして現れることがあります。


たとえば、スポーツで酷使したり、長時間の立ち作業や歩行を続けたりした場合に起こりやすいです。筋肉の緊張状態が維持されると、回復しにくい慢性的な症状へと移行することもあります。



運動不足や体の歪みによるバランスの崩れ


運動不足によって筋力が低下すると、骨盤や股関節の安定性が損なわれ、身体のバランスが崩れやすくなります。また、日常生活での片足重心、同じ側での荷物持ち、足を組む癖なども、骨盤の歪みやねじれを引き起こす原因となります。骨盤の歪みやねじれによって鼠径部にある関節や筋肉に不均等な負担がかかり、違和感や痛みが発生することがあります。


特に加齢とともに柔軟性や筋力が低下している場合、身体のゆがみが放置されやすく、慢性的な痛みに発展するリスクもあります。



筋肉や腱の損傷


太ももの付け根に鋭い痛みが走る場合は、筋肉や腱の損傷が疑われます。特にスポーツなどで瞬発的な動作を繰り返した際には、腸腰筋や内転筋が引き伸ばされたり、過負荷がかかったりして、微細な断裂や炎症が生じることがあります。


痛みは運動中や運動後に強くなることが多く、損傷部位に腫れや熱感を伴うケースも見られます。重度の損傷では歩行が困難になることもあるため、明らかな自覚症状がある場合は安静を保ち、早期に医療機関での診断が推奨されます。



太ももの付け根が痛いときに考えられる疾患


太ももの付け根に痛みがある場合、単なる筋肉疲労だけでなく、体の内部に関連した疾患が隠れている可能性もあります。特に痛みが長引く場合や、歩行に支障が出るような場合には注意が必要です。以下では、考えられる主な疾患について解説します。



変形性股関節症


変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで骨同士が直接こすれ、炎症や痛みを引き起こす疾患です。股関節は上半身を支える重要な関節であり、歩行や立ち上がりの動作でも負担が集中します。軟骨の摩耗が進行すると、関節の動きが悪くなり、日常動作に支障が出るようになります。


特に女性に多く、40代以降で発症しやすい点が特徴です。加齢や先天的な股関節の形成不全、体重の増加などが要因とされます。初期段階では違和感や軽度の痛みで済む場合もありますが、進行すると慢性的な痛みや歩行障害を伴い、治療が必要となります。



慢性関節リウマチ


慢性関節リウマチは、免疫の異常により自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。複数の関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばりなどの症状が左右対称に現れることが特徴です。特に朝のこわばりは、代表的な初期症状として知られています。


日本人の有病率は0.2〜1.0%程度で女性に多く、40~50代での発症が目立ちます。進行すると関節の破壊や変形が進み、日常生活に支障をきたすこともあります。股関節に発症する場合には、痛みに加えて腫れや熱感を伴うこともあります。


診断には血液検査が用いられ、症状の継続期間や炎症反応の有無などをもとに判断されます。早期発見と適切な治療が、関節の機能維持にとって重要です。



大腿骨頭壊死症


大腿骨頭壊死症は、大腿骨の先端部分である骨頭に血液が十分に届かなくなることにより、骨組織が壊死する疾患です。骨頭は股関節の滑らかな動きを支える重要な構造ですが、血流が阻害されることで骨細胞が栄養不足となり、やがて骨がもろくなります。初期には自覚症状が乏しいものの、進行に伴って歩行時の股関節の痛みや可動域の制限が現れることが多くなります。壊死した骨がつぶれると、股関節の変形や機能障害を引き起こすこともあります。


主な原因はステロイド薬の長期使用や過度の飲酒、外傷などで、特に30~50代の男性に多くみられます。原因不明のケースも存在し、症状が軽いうちに発見することがその後の経過を左右するとされています。



大腿骨頸部骨折


大腿骨頸部骨折は、太ももの付け根に位置する大腿骨の頸部が骨折する状態を指します。主に転倒や軽い衝撃によって発症しやすく、特に骨密度が低下した高齢者に多く見られる疾患です。骨折によって股関節付近に強い痛みが生じ、歩行や起き上がりが困難になることがあります。放置すると長期の寝たきりや合併症を招くおそれがあるため、早期の診断と治療が重要です。


また、骨粗鬆症に加え、視力の低下や神経疾患なども発症リスクを高める要因とされており、予防には日常生活での転倒対策が欠かせません。




太ももの付け根が痛いときにできる対策

太ももの付け根が痛いときにできる対策

太ももの付け根に痛みを感じた場合、日常生活の中で試せる対策がいくつかあります。原因によっては自宅でのケアで症状の緩和が期待できる場合もありますが、痛みが長引く場合は早めの受診が必要です。


・安静にする

痛みが強いときは、まず股関節まわりを休ませることが大切です。無理に動かし続けると炎症や損傷が悪化するおそれがあります。運動や負荷のかかる動作を避け、可能であれば横になって股関節に負担をかけないようにしましょう。


・痛み止めを使用する

市販の鎮痛剤(解熱鎮痛薬)を一時的に使用することで、痛みの緩和につながる場合があります。ただし、継続的に服用する前には医師や薬剤師に相談することが望ましいです。


・股関節周りのストレッチ

血流改善や筋肉の柔軟性向上を目的に、無理のない範囲で軽めのストレッチを取り入れることが効果的です。開脚運動や股関節をやさしく回す動作などが代表的ですが、痛みを感じる動きは避けるようにしましょう。


・姿勢改善

長時間の座りっぱなしや足を組むなどの習慣は、股関節や骨盤まわりに負担をかける可能性があります。日常の座り方や立ち姿勢を見直し、骨盤の傾きや左右差が生じないように意識することが大切です。


・日常的な運動

軽いウォーキングやストレッチ、筋トレなどを習慣化することで、股関節を支える筋肉の強化や柔軟性の向上が期待できます。運動は無理のない範囲で継続的に行うことがポイントです。


対策を行っても痛みが軽減しない場合や、日常生活に支障が出るような痛みが続く場合は、整形外科などの医療機関を受診して原因を調べてもらうことが重要です。



まとめ


太ももの付け根が痛い場合には血行不良や股関節周りの筋肉の疲労や硬直、また体の歪みや筋肉・腱の損傷など多くの原因が考えられます。筋肉疲労や損傷だけでなく、変形性股関節症や慢性関節リウマチをはじめとした体の内部に関連した疾患が隠れている可能性もあるため、痛みが続く際には早めに受診をすることが重要です。


痛み始めた際には安静にしたり痛み止めを使用したり、股関節に負担をかけるのはできるだけ避けましょう。





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監修医師

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保田 真吾 医師

京都大学でアルツハイマー病などの神経変性疾患の病態解明と治療法の開発に取組み、医学博士を取得。また、准教授として再生医学の応用研究に従事し、国際的評価の高い学術誌に研究成果を発表してきた。整形外科医としては、人工関節置換術や膝関節鏡手術を数多く経験。公的病院にて医長や副院長、院長代行などを務め、病院全体を管理する仕事にも携わってきた。


臨床医として勤務しつつも、再生医学の臨床応用については常に研究しており、実用段階となった再生医療の症例を4000例以上経験。再生医療の長所、短所を知り尽くし、理想の関節治療を実現するため、大阪梅田に新規クリニックを開設する決意をした。「和顔愛語 先意承問」の精神で、丁寧な診察を心がけている。

​【経歴】

京都大学医学部大学院修了 

京都大学助教授(准教授)

市立舞鶴市民病院 副院長・院長代行

国立病院機構 舞鶴医療センター 医長

公益財団法人 丹後中央病院 部長

医療法人社団活寿会 理事長

大阪ひざ関節症クリニック 院長

膝の痛み専門 大阪梅田セルクリニック 院長

​【専門医など】

京都大学医学博士

日本専門医機構認定  整形外科専門医

リウマチ財団登録医

臨床内科専門医/糖尿病療養指導医

日本医師会認定産業医

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