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膝の上が痛い原因と効果的な対処法|考えられる疾患の特徴も紹介



階段の昇り降りや立ち上がりの動作で、膝のお皿の上あたりに痛みを感じたことのある方もいるのではないでしょうか。年齢に関係なく起こりやすい膝上の痛みは、膝関節の使いすぎによる炎症や筋力の低下、運動時の負荷などが原因となることがあります。


当記事では、膝の上が痛くなる代表的な原因や考えられる疾患、日常生活でできる対処法について紹介します。


【この記事はこんな方におすすめです】 ・階段の上り下りや立ち上がるときに、膝のお皿の上あたりが痛む方

・膝の違和感が続いているが、病院に行くべきか迷っている方

・ジャンプや着地を伴う運動をしていて膝に負担を感じている方


膝の上が痛い原因


膝の上が痛くなる原因は複数あり、年齢や生活習慣、運動の有無によっても異なります。突然の痛みや慢性的な違和感には、思わぬ疾患が隠れていることもあります。以下では、膝の上に痛みを感じるときに考えられる代表的な原因について見ていきましょう。



加齢による筋力低下や関節の変化


加齢とともに筋肉量が減少し、膝まわりの筋力も低下することが、膝の上が痛みにつながる原因の一つです。特に太ももの前側にある大腿四頭筋が弱くなると膝関節への負担が大きくなり、痛みの原因となることがあります。また、長年の使用によって膝関節の軟骨がすり減ると、関節の動きがスムーズでなくなり、炎症や違和感が生じやすくなります。



疲労やストレスの蓄積による炎症


日常生活での疲労や身体的ストレスの蓄積も、膝の上に痛みが生じる原因です。たとえば、長時間の立ち仕事や頻繁な階段の昇降、膝を曲げたままの姿勢を続けることなどが、筋肉や腱に小さな負担を繰り返し与えます。これらの負担が積み重なると、膝周辺の組織に微細な炎症が生じ、痛みや違和感として現れることがあります。


また、体の使い方や姿勢のクセによって、特定の部位にストレスが集中している場合も注意が必要です。



運動による過負荷やジャンプ動作の繰り返し


膝の上が痛くなる原因の一つに、運動による過負荷やジャンプ動作の繰り返しが挙げられます。特に陸上競技やバスケットボール、サッカーなどは、ジャンプや着地を頻繁に行い、膝まわりの筋肉や腱に大きな負担がかかるスポーツです。膝周りの筋肉や腱への負荷が継続的にかかると、膝の上部に位置する腱やその周辺組織にストレスが蓄積し、痛みや違和感が現れやすくなります。準備運動不足やフォームの乱れ、疲労の蓄積がある場合には、痛みが慢性化することもあるでしょう。



膝の上が痛くなる疾患


膝の上に痛みを感じる場合、日常的な疲労や使いすぎ以外に、何らかの疾患が隠れている可能性もあります。早期の対処が必要となるケースもあるため、痛みが長引く・強くなるといった症状がある場合は注意が必要です。


以下では、膝の上が痛くなる原因となり得る主な疾患と特徴について紹介します。



大腿四頭筋腱炎


膝の上が痛む疾患として多いのが、ジャンパー膝とも呼ばれる大腿四頭筋腱炎(だいたいしとうきんけんえん)です。膝の上部にある大腿四頭筋腱が炎症を起こす疾患で、膝の屈伸動作を繰り返すことで腱に負担がかかり、スポーツや階段の上り下りなどをきっかけに痛みが現れることがあります。特に、膝蓋骨(膝のお皿)の上あたりに痛みや腫れを感じるのが特徴です。


治療では安静にすることが第一で、炎症が強い場合はアイシングや消炎鎮痛薬が用いられます。並行して、大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチや筋力強化も行います。予防には、運動前後のウォーミングアップやストレッチが効果的です。



滑液包炎


膝の上部に痛みや腫れが生じる場合には、滑液包炎(かつえきほうえん)も考えられます。​滑液包炎は、関節周囲にある滑液包が炎症を起こすことで発症する疾患です。​膝を頻繁についたり、同じ姿勢を長時間続けたりなど、関節の使いすぎや繰り返しの動作、外傷、感染症などが引き金となります。​


また、細菌感染による化膿性滑液包炎では、患部が赤く腫れ、熱感や強い痛みを伴うことがあります。​治療法としては、安静を保ち、患部を冷やすことが基本です。​非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用や必要に応じて滑液包内へのコルチコステロイド注射が行われることもあります。​感染が疑われる場合は、抗生物質の投与や膿の排出が必要となることもあります。​



膝蓋大腿関節症


膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)は、膝蓋骨(膝のお皿)と大腿骨(太ももの骨)の間の軟骨がすり減る、または傷付くことで起こる疾患です。加齢や筋力低下、繰り返す膝の屈伸運動などが原因で、後述する変形性膝関節症による脛骨大腿関節の変形に伴い起こる場合もあります。スポーツなどでの衝撃による膝蓋骨の脱臼や亜脱臼の繰り返しも、膝蓋大腿関節症になる原因です。


ひどくなると日常生活に支障をきたし、膝の上に痛みを感じる他に立ち上がったときや階段を上り下りする際に、膝周辺が強張ったり音が鳴ったりすることもあります。初期段階の治療では、大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングやストレッチなどのリハビリ、膝への負担を減らすための体重管理、膝を保護するサポーターの使用、痛みを抑える薬物療法などが行われます。症状が進行している場合には、関節鏡手術や人工膝関節置換術など、状態に応じた手術療法が検討されます。膝蓋骨脱臼が原因となっている場合は、膝蓋腱の脛骨付着部の位置をずらしたり、膝蓋骨の内側靭帯を修復し外側への脱臼を予防する手術が行われることがあります。



変形性膝関節症


変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで骨同士が直接接触し、炎症や痛みを引き起こす疾患です。​特に中高年の女性に多く見られ、膝の上部に痛みを感じ、​進行すると関節の変形や可動域の制限が生じて日常生活に支障をきたすこともあります。​原因としては加齢や肥満、過度な膝への負担などが挙げられます。


​初期段階では運動療法や薬物療法、ヒアルロン酸注射などの保存療法を行うのが一般的です。​症状が進行した場合は、人工膝関節置換術などの手術療法が検討されます。​日常生活では膝への負担を軽減するための体重管理や適切な運動、正しい姿勢の維持が重要です。​



膝の上が痛いときの対処法


膝の上が痛いと感じた際には、まずは無理をせず日常生活の中で取り入れられる対処法を試してみましょう。適切なケアをすることで痛みの悪化や慢性化を防げる可能性もあります。


以下では、膝の上が痛いときの対処法をいくつか紹介します。



冷やす・温める


運動後や外傷による腫れ、熱感、赤みが見られるときなど膝が痛み始めた場合には、炎症を抑えるためにアイスパックで15〜20分程度、膝を冷やしましょう。このとき、アイスパックは直接患部に当てず、タオルを挟んで間接的に冷やすことが大切です。


また、慢性的な痛みや膝に強張りがある場合には、温めて血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。​例えば、長時間のデスクワークや寒冷による膝のこわばりを感じるときには、湯たんぽや温湿布を使用するのがおすすめです。ただし、炎症がある状態で温めると、状態が悪化する可能性もあるため注意しましょう。



ストレッチをする


膝に痛みがあると動くことが億劫になってしまいがちですが、実は安静にしていると関節が萎縮してますます動かしにくくなることもあります。そのため、無理のない程度にストレッチをするのもおすすめです。膝上が痛む場合には、大腿四頭筋やハムストリングスに効くストレッチを行いましょう。以下は、大腿四頭筋に効果的とされているストレッチです。


1

横向きに寝て、上側の足首を手で持つ

2.

かかとをお尻に近づけるように、ゆっくりと膝を曲げる

3.

太ももの前側の伸びを感じながら、30〜60秒キープする

4.

2〜3回を1セットとし、左右それぞれ3セット行う



テーピングをする


テーピングやサポーターで膝の負担を軽減する方法もあります。テーピングは膝のお皿周辺の筋肉や腱への負担を軽減してくれ、痛みの緩和が期待できます。ただし、肌にかゆみや発疹などが出た場合には、すぐに使用を中止しましょう。


サポーターは膝関節への過度な動きを抑制、また衝撃を吸収したり関節の動きを助けたりすることで、膝への負担を軽減し痛みの緩和が期待できます。市販のサポーターには多くの種類があるため、医療用、スポーツ用など用途に合ったものを選びましょう。また、長時間の着用や締め過ぎには注意が必要です。



膝の上が痛いと感じたときの受診のタイミング


膝の上に痛みを感じても、「そのうち治るだろう」と受診を先延ばしにしてしまう方は少なくありません。しかし、痛みを我慢しているうちに炎症や関節の負担が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。腫れが引かない、階段の上り下りがつらい、安静にしても改善しないといった症状が続く場合は、早めに整形外科など専門機関を受診することをおすすめします。



まとめ


膝の上に痛みを感じる原因は、加齢による筋力の低下や疲労、運動による負荷などさまざまです。日常的な要因に加え、大腿四頭筋腱炎や滑液包炎、膝蓋大腿関節症といった疾患が背景にあることもあります。


痛みが強い・長引くといった場合には、医療機関での診察が必要です。初期段階での対処や生活習慣の見直しにより、症状の悪化を防げるケースも多いため、適切なケアや早めの受診が大切です。





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